パラバドミントン

パラバドミントンのクラス分け
WH1・WH2・SL3・SL4・SU5・SH6——クラスで変わるのは「使うコートの範囲」と「サービス」の2つだけ

パラバドミントンは、屋内のバドミントンとほとんど同じ競技です。コートもネットの高さもラケットもシャトルも同じで、点数もラリーポイント制です。クラスによって変わるのは2つだけ——使うコートの範囲(半面か全面か)と、サービスの決まり(どの高さまでで打つか)です。クラスは6つあり、車いすが WH1・WH2、立位が下肢の SL3・SL4、上肢の SU5、低身長の SH6 に分かれます。このページは、BWF(世界バドミントン連盟)の競技規則と一般社団法人 日本パラバドミントン連盟という一次資料から、クラスごとに何が変わるのかだけを整理したものです。屋内の基本ルールは バドミントンのルール完全ガイド、点数の数え方は 点数の数え方ガイド をどうぞ。

① 6つのクラス

BWFのクラス分けは6つのスポーツクラスです。車いす(Wheelchair)が WH 1・WH 2、立位(Standing)が SL 3・SL 4・SU 5、低身長(Short Stature)が SH 6。日本パラバドミントン連盟は「大きく分けて車いすと立位があり、立位のカテゴリーは4クラス、下肢障がいは障がいの程度により2クラス、上肢障がい、低身長にカテゴライズされる」と説明しています。

⚠️ 表記について:SH6 と SS6
BWFの競技規則も大会のドローも 「SH 6」 ですが、日本パラバドミントン連盟のサイトは「SS6」と書いています(2026年9月16日時点)。当サイトは、大会の種目名・ドロー・結果で実際に使われている SH6 に統一しています。

クラスはどう決まるのか。BWFによると、クラス分けは医学的な検査と、どのバドミントンの動きやショットが易しく/難しいかを分類員に見せる実技で行われます。選手にはクラスと一緒に「スポーツクラスステータス」(いつ再評価されるか、そのクラスにどう異議を申し立てられるか)が与えられます。各クラスの最小障害基準(Minimal Impairment Criteria)は、BWFの「パラバドミントン・クラス分け規程」に書かれています。当サイトは、個々の選手の障がいの原因・程度・経緯は扱いません。大会で公表されている出場クラスと、規則の上で確かめられることだけを書いています。

② 変わること①:使うコートの範囲

クラスで最初に変わるのがコートです。BWFの競技規則は、パラバドミントンにだけ適用される条文を斜体で本文に混ぜて書いており、コートについてはこう定めています——車いすクラスのコートは図Dと図E、半面を使う立位クラスのシングルスのコートは図F。そして図Fの注記に、「その他の立位クラスは、シングルスもダブルスも通常のコート(図A)を使う」とあります。

パラバドミントンでクラスごとに変わるコートの使い方を比べた図。車いすクラス(WH1・WH2)のシングルスはBWF競技規則の図Dで、コートの半分だけを使い、ネットとショートサービスラインの間に落ちたシャトルはアウトになる。立位のSL3のシングルスは図Fで、コートの半分を使うがネット前のアウトはない。SL4・SU5・SH6は図Aの通常のコートで、シングルスもダブルスも全面を使う
クラスごとのコートの使い方。半面を使うのは車いす(WH1・WH2)のシングルスとSL3のシングルスで、SL4・SU5・SH6はシングルスもダブルスも全面です。出典=BWF競技規則 Section 4.1(図A・図D・図F)/日本パラバドミントン連盟「パラバドミントンのカテゴリーとルール」
コート図は4種類
図A=通常のコート(SL4・SU5・SH6はシングルスもダブルスもこれ)/図D=車いすクラスのシングルス(半面)/図E=車いすクラスのダブルス(専用の図)/図F=SL3のシングルス(半面)

車いすのシングルスには、もう1つ決まりがあります。日本パラバドミントン連盟は「車いすのシングルスはコートの半分を使い、シャトルはネットとネットに近いサービスラインの間に落ちたものはアウトになります」と説明しています。つまりネット前の帯はコートの外で、そこに落ちた球は有効になりません。SL3の半面(図F)にはこの決まりはありません。

半面のクラスでも、サービスの左右は通常どおりです。BWFの競技規則は「半面を使うパラバドミントンのクラスでは、サーバーとレシーバーはそれぞれのサービスコートからサーブし、そこで受ける」と定めています。会場側の準備も変わり、BWFがテクニカルオフィシャルに出している手引きには、立位の半面用にコートへ追加のラインを引くこと、半面の試合ではラインジャッジとコーチの椅子の位置を変えることが、レフェリーの確認項目として入っています。

③ 変わること②:サービスの決まり

もう1つ変わるのがサービスを打つ高さです。通常のバドミントンはシャトル全体がコート面から1.15m以下で打ちますが、パラバドミントンでは立位と車いすでそれぞれ別の決まりになります。

④ 車いす・クラッチ・義肢の決まり

BWFの競技規則には「パラバドミントンの追加用具」という独立した章があり、車いす・クラッチ(杖)・義肢の3つについて定めています(2024年11月9日発効の第2.0版)。

⑤ 出られる種目とクラスの合併

クラスは「出られる種目」も決めます。BWFのパラバドミントン一般競技規程(2025年11月8日発効の第7.0版)は、シングルスのエントリーをこう制限しています。

読み方は「障がいの程度が重い側から、軽い側のクラスへは出られる。逆はできない」です。同じ規程は、WH1がWH2に出る場合を「障がいの程度が重い側の選手が、軽い側のクラスに出る」例として書いています。なお、自分のクラスの種目に人数が足りず世界ランキングの付く公式競技として成立しない場合は、レフェリーやテクニカルデリゲートがドロー作成の段階で自分のクラスの種目へ戻すことがあるとも定められています。

ダブルスは「クラスポイント」で組み合わせが決まります。車いすの男子ダブルス・女子ダブルス・混合ダブルスはWH 1-WH 2(クラスポイントの上限3)で、組めるのは WH1/WH1 か WH1/WH2 の2通りだけです。

💡 エントリーが少ないと、2つのクラスが1つの種目になる
BWFのパラバドミントン一般競技規程には「合併種目(Combined Sport Class)」の決まりがあります。合併したときは種目名に両方のクラスを書くことになっていて、たとえば女子シングルスWH1が3か国5人、WH2が2人なら種目名は「WS WH 1 + WH 2」になります。そして障がいの程度が重い側のクラスの選手は、合併がなかったものとして順位の賞を受けるため、合併した種目には優勝者が2人出ることがあります。大会の結果表で「WH1+WH2」のような種目名を見かけるのは、この決まりのためです。

⑥ 変わらないこと(ネット・用具・点数)

ここまでが「変わること」です。裏を返すと、それ以外はすべて屋内バドミントンと同じです。

パラバドミントンでも同じもの
① ネットの高さ=中央1.524m・ダブルスのサイドライン上1.550m(日本パラバドミントン連盟)/② コートそのもの=線の引き方も寸法も通常のコート(使う範囲だけが変わる)/③ ラケットとシャトル=規格は同じ/④ 点数=ラリーポイント制/⑤ フォルト・レット・インターバル=同じ競技規則の条文

つまりパラバドミントンの試合は、屋内のバドミントンとまったく同じ形で記録できます。スコアシートの書き方も、点数の数え方も、変える必要はありません。

⑦ 2027年1月4日からの15点制

BWFの「バドミントン競技規則」(Section 4.1)は、いま2つの版が並んで公開されています。

🔴パラバドミントンの条項は、この同じ「バドミントン競技規則」の中に斜体で書かれています。コートの図も、サービスの高さも、車いすの車輪の決まりも、第5.0版と第6.0版で同じ文言がそのまま入っています。つまり点数の改正も、パラバドミントンに同じように及びます。

⚠️ 国内大会の点数は、大会の要項で決まります
国内の大会は公益財団法人 日本バドミントン協会の競技規則と、大会ごとの要項で運用されます。国内の15点制は2026年から移行が始まっていますが、第12回 日本障がい者バドミントン選手権大会(2027年1月23日・24日)の大会要項は、2026年9月16日時点でまだ公表されていません。当サイトは、要項が出るまで「たぶん15点」とは書きません。出場・観戦の前に、必ず主催者の発表をご確認ください。

⑧ 実際の大会で見る

クラス分けの仕組みは、大会の種目名を見るといちばん早く分かります。当サイトが追っている3つの大会は、どれもクラスごとに種目が分かれた形です。

⑨ 記録と大会運営

パラバドミントンはラリーポイント制で、点数の数え方が屋内とまったく同じです。半面を使うクラスでも、サービスの左右の入れ替わりも、デュースの処理も変わりません。つまりスコアの記録は、屋内の試合とまるごと同じやり方で通ります。

スコア記録アプリ「バドシート」で記録する場合
何点先取かを設定できるので、いまの21点制でも、2027年からの15点制でも、そのまま記録できます。シングルス・ダブルスの区別も同じです。半面を使うクラスでも、点の入り方・サーブの左右は通常どおりなので、読み替えは要りません。ただし落下点の記録は全面のコートを前提にした画面なので、半面のクラスでは使う範囲が画面の半分になります。

大会を開く側から見ると、パラバドミントンは種目数が多いのが特徴です。Japanパラバドミントン国際大会2026は20種目、第11回の日本障がい者バドミントン選手権大会はシングルス7クラス・ダブルス5クラスの12種目に92名がエントリーしました。クラスごとに小さなドローがいくつも並ぶ形になるので、組み合わせ・コート割り・進行表を種目単位で作れることが実務の要になります。ここは屋内の大会運営とまったく同じ形です。

種目が20あっても、やることは組み合わせ・コート割り・進行表。

「バドオート」は、種目ごとの組み合わせとコート割り、当日の進行表をブラウザだけで回せる大会運営ツールです。クラス分けで種目が細かく分かれる大会でも、種目単位のドローを並べて管理できます。スコアの記録は「バドシート」で(21点にも15点にも設定できます)。どちらも無料で試せます。

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⑩ よくある質問

Q. パラバドミントンのクラス分けは何種類ありますか?

6種類です。世界バドミントン連盟(BWF)のクラス分けは、車いすの「WH 1」「WH 2」、立位の「SL 3」「SL 4」「SU 5」、低身長の「SH 6」に分かれます。日本パラバドミントン連盟は、大きく車いすと立位に分かれ、立位は4クラスで、下肢障がいは程度によりSL3とSL4の2クラス、上肢障がいがSU5、低身長がもう1クラス、と説明しています。クラスは医学的な検査とバドミントンの動作を見る手続きで決まり、クラスと一緒に「スポーツクラスステータス」(いつ再評価されるか、どう異議を申し立てられるか)も与えられます。

Q. WH1とWH2の違いは何ですか?

どちらも車いすのクラスです。各クラスの医学的な基準はBWFの「パラバドミントン・クラス分け規程」に定められているので、当サイトはその中身には踏み込みません。競技規則の上ではっきり確かめられる違いは2つです。①WH1に分類された選手はWH2の種目にも出られますが、WH2の選手はWH1の種目には出られません(BWFパラバドミントン一般競技規程 8.8.1)。②同じ規程は、WH1がWH2に出る場合を「障がいの程度が重い側の選手が、軽い側のクラスに出る」例として書いています(8.8.4)。

Q. コートの半分しか使わないクラスはどれですか?

車いすクラス(WH1・WH2)のシングルスと、立位のSL3のシングルスです。BWFの競技規則は、車いすクラスのシングルスを図D、SL3のシングルスを図Fで示し、「その他の立位クラスはシングルスもダブルスも通常のコート(図A)を使う」と明記しています。つまりSL4・SU5・SH6は全面です。車いすのダブルスには図Eという別のコート図が定められています。なお日本パラバドミントン連盟は、車いすのシングルスについて「シャトルはネットとネットに近いサービスラインの間に落ちたものはアウトになる」と説明しています。

Q. パラバドミントンのサービスのルールは普通のバドミントンと違いますか?

打つ高さの決まりが違います。通常のバドミントンはシャトル全体がコート面から1.15m以下で打ちますが、パラバドミントンの立位クラスは「代替サービス法」が適用され、シャトル全体が腰(いちばん下の肋骨の高さの仮想線)より下で、かつラケットのシャフトとヘッドが下を向いていることが条件になります。車いすクラスは、シャトル全体がサーバーの脇の下より下で、ラケットが下向きであることが条件です。さらに車いすでは、サービスの開始から送球まで、サーバーとレシーバーの車輪が止まっていなければなりません(サーバーの車いすの自然な反動は除きます)。

Q. 車いすや義足に決まりはありますか?

あります。BWF競技規則の「パラバドミントンの追加用具」によると、車いすは、腰や腿にストラップで体を固定してよく、足はフットレストに固定しなければなりません。打つ瞬間に胴体と脚の一部が座面に接している必要があり、座面のフレームは水平か後ろ向きの角度は認められますが前傾は認められません。後方の補助輪を付けてよく、主輪より外へ出ていても構いませんが、移動や操舵を助ける電動その他の装置は付けられません。義肢はSL3・SL4・車いすのクラスで使えますが、SU5では使えません。クラッチ(杖)は大腿または下腿を切断した選手が使え、脇の下から地面までの本人の自然な寸法を超えてはいけません。

Q. 自分のクラスと違うクラスの種目に出られますか?

シングルスは、障がいの程度が重い側から軽い側のクラスへなら出られます。BWFパラバドミントン一般競技規程は、WH2の種目にWH1、SL4の種目にSL3、SU5の種目にSL3・SL4が出られると定めています。逆はできません。WH1・SL3・SH6の種目は、それぞれそのクラスの選手だけです。ダブルスは組める相手が「クラスポイント」の上限で決まり、車いすの男子・女子・混合ダブルスはWH1-WH2(上限3)=WH1/WH1かWH1/WH2の組に限られます。

Q. エントリーが少ないクラスの種目はどうなりますか?

2つのクラスを合わせた「合併種目」になることがあります。BWFパラバドミントン一般競技規程は、合併したときは種目名に両方のクラスを書くと定めています(例:女子シングルスWH1が5人3か国、WH2が2人のとき「WS WH 1 + WH 2」)。そして、障がいの程度が重い側のクラスの選手は、合併がなかったものとして順位の賞を受けます。このため、合併種目には優勝者が2人出ることがあります。

Q. パラバドミントンは何点で1ゲームですか?

2026年9月16日時点のBWF競技規則(2025年4月26日発効の第5.0版)では21点先取・20オールで2点差・29オールなら30点目を取った側の勝ちです。ただしBWFは2027年1月4日発効の第6.0版をすでに公開しており、そこでは15点先取・14オールで2点差・20オールなら21点目に変わります。パラバドミントンの条項はこの同じ「バドミントン競技規則」の中に斜体で書かれているので、点数の決まりもパラバドミントンに同じように及びます。国内大会の点数は日本バドミントン協会と主催者の要項で決まるので、出場前に大会要項を確認してください。

関連ページ

このページは、バドミントンのスコア記録・分析アプリ「バドシート」を運営する TakeoriLab が作成しています。出典はBWF Statutes の Section 4.1「Laws of Badminton」(2025年4月26日発効 第5.0版/2027年1月4日発効 第6.0版)、Section 4.1.4「Alternative Laws of Badminton」、Section 4.1.7「Additional Equipment for Para Badminton」(2024年11月9日発効 第2.0版)、Section 4.1.1.1「Instruction to Para Badminton Technical Officials」(2025年11月8日発効 第6.0版)、Section 5.5「Para Badminton General Competition Regulations」(2025年11月8日発効 第7.0版)、BWF Corporate のクラス分け解説ページと、一般社団法人 日本パラバドミントン連盟「パラバドミントンのカテゴリーとルール」です。掲載しているのは規則の条文の内容と大会の事実のみで、記事本文・写真は転載していません。2026年9月16日時点の情報です。競技規則と大会要項は変更されることがありますので、出場・観戦の前に必ず主催者・連盟の公式発表をご確認ください。掲載内容の誤り・訂正・削除のご依頼は お問い合わせフォーム からお知らせください。確認のうえ速やかに対応します。